Horse Story#004
アグネスタキオン(牡3)(2001.3.6作成)
今回のゲストホースは先日の弥生賞で不良馬場もものともせず圧倒 的な強さで1番人気に応えて優勝したアグネスタキオン号です。
今年の3歳牡馬のレベルの高さは史上空前と言っても過言では無いほどであるが、その中でも3歳牡馬NO.1の存在が今日のゲストホースのアグネスタキオンである。名牝ベガの仔で一昨年のダービー馬アドマイヤベガはデビュー戦から圧倒的1番人気、そしてその後順調に勝ち進み弥生賞まで駒を進めたが、弥生賞ではナリタトップロードに敗れた。だが彼は皐月賞でも1番人気になってしまい、大幅な馬体減も影響したのか6着に敗れていた。
いずれにしても実力より血統背景の影響などによる人気のほうが先行していたタイプの馬だった。だがタキオンは去年のダービー馬アグネスフライトの全弟であるが、デビュー戦から圧倒的支持を受けていたわけではない。彼の強さが我々ファンを認めさせた正真証明のスターホースである。その事を彼は現在まで1戦1戦、自力で証明しており、今では「兄フライトを超える器」と囁かれるほどになってしまった。
彼のデビュー戦は、阪神芝2000Mでいきなりからクラッシックを意識させられる良血馬や素質馬が揃ったレースだった。彼はおそらく良血が買われたのだろう3番人気の支持だった。1番人気には奇跡のダービー馬フサイチコンコルドの弟で後に京成杯を勝つボーンキングが支持されていました。そしてレースはこの時期のこの距離にふさわしく、スローペースで流れ、タキオンはスタートで後手をふんだものの、ひとまくりで4角には先頭に並びかけ、そのまま3F33秒8の瞬発力を発揮し難なく優勝。1番人気のボーンキングはタキオンから離されること2秒差の5着に敗れていた。このレースを見ていた私はタキオンの勝利に対して「血が騒いだのかな―」程度にしか思っていませんでした。
そして圧巻のラジオたんぱ杯3歳S、単勝1倍台の圧倒的1番人気には連続レコード勝ちの実績を持ち当時3歳最強の名を欲しいままにしていたマル外のクロフネ、そしてタキオンが離された2番人気、3番人気には3ヶ月の休養明けだが、これまた札幌3歳Sをレコード勝ちし、朝日杯3歳S2着馬タガノテイオーを2度完封しているジャングルポケットが押されていた。そしてレースはクロフネが4角で先頭に並びかけたかと思うと、もうその横にはタキオンが抜群の手応えで進出しており、そこからが身震いするほどの強さ、明らかに他馬とは違う瞬発力で見る見るうちにクロフネをちぎり楽勝していた。2着には休養明けの影響か、エンジンの掛かりが遅れたジャングル、そして3着にクロフネが入った。デビュー戦の荒削りな内容から一転しこのレースはタキオンの名前を世に知らしめる大きな1戦だった。
そして弥生賞はもちろん圧倒的1番人気、2番人気にはたくましくなったボーンキング。新聞など各マスコミは、「このレースの焦点はタキオンがどんな勝ち方をするのか?」ってなもので勝つのはタキオンと決め付けていた。だが私は一つだけ不安点を持っていた。それは前日から天気予報が雨になっていたからだ。だがその心配は必要なかった。終わってみれば不良馬場の中、2着のボーンキングに5馬身差の圧勝、レース内容はいつもより前の3番手で競馬をし、そこからは、いつも通り瞬発力の違いで後続をちぎった。レース後、河内騎手は「最後はアップアップだった」と謙遜しながら言っていたが、「良馬場だったらもっと良い競馬をお見せで出来ただろう」と言っていた。おそらくこれが本音だろう。
この馬は現在3戦3勝の無敗馬でしかも道悪、輸送も経験済み、これは道悪も輸送も経験しながら圧勝を続けていたトウカイテイオーのパターンに非常に近く(トウカイテイオーは4戦4勝)、タキオンの無敗の2冠馬は濃厚だと言うことを物語っている。後はテイオーも無しえなかった3冠馬の勲章だけ。今年はタキオン以外にもアグネスゴールド、ギャングルポケット、クロフネ、ボーンキングなど猛者が多く本当に楽しめそうです。まさに史上空前のメンバーだけど、ここを河内騎手と共に勝ち抜いて彼が3冠馬になるのを見届けたいものです。
(成績と主な勝ち鞍)
3戦3勝(2001.3.4現在)
ラジオたんぱ杯3歳S、弥生賞
(血統についてワンポイント)
サンデーサイレンス Sunday Silence 1986青鹿 |
Halo 1969黒鹿 |
Hail
to Reason 1958黒鹿 |
Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah 1953鹿 |
Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Wishing
Well 1975鹿 |
Understanding 1963栗 |
Promised Land | |
Pretty Ways | |||
Mountain
Flower 1964鹿 |
Montparnasse | ||
Edelweiss | |||
アグネスフローラ 1987鹿 |
ロイヤルスキー Royal Ski 1974栗 |
Raja
Baba 1968鹿 |
Bold Ruler |
Missy Baba | |||
Coz
O'Nijinsky 1969栗 |
Involvement | ||
Gleam | |||
アグネスレディー 1976鹿 |
リマンド 1965栗 |
Alcide | |
Admonish | |||
イコマエイカン 1967鹿 |
Sallymount | ||
ヘザーランズ |
母は桜花賞馬でオークス2着馬、母の妹にチューリップ賞を勝ったアグネスパレードがいる。母父のロイヤルスキーは父としては目立つ馬ではないが、母父としては、ダイワオーシュウ(菊花賞2着)などのスタミナタイプも出しているが、エアジハード(安田記念)、ジョウテンブレーブ(京阪杯)、スキーパラダイス(京王杯)などスピードを武器にする馬を多数排出。タキオンの父は万能タイプのサンデーサイレンスなので距離の融通は2400M位なら大丈夫。菊花賞はタキオン自信の潜在能力に託すレースになりそう。
この血統で唯一心配なのは、サンデーサイレンスの早熟性だけ、3歳時はもつだろうが古馬になってから成長力に欠ける恐れがある。私の記憶ではSS産駒で古馬になってからG1に勝ったのは、スペシャルウイーク、ジェニュイン、マーベラスサンデー、サイレンススズカだけ。バブルガムフェローなんかは古馬になってからの成長がなかったように感じる。幸い兄のフライトが1つ上にいるのでフライトが今年活躍したらタキオンも大丈夫だろう。
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