Horse Story#008

ウイングアロー(牡6)(2001.2.11作成)
今回のゲストホースは去年のダートのG1・フェブラリーS、JCダートを制覇、そして今年のG1・フェブラリーSを2ヶ月半のブランクを克服し2着に入り最強ダ−ト馬の底力を見せつけたウイングアロー号です。


 本来このコーナーでは先日のフェブラリーSを見事3連勝で優勝したノボトゥルーを取上げるのが筋かも知れないが、今回は後にドバイワールドカップ(国際G1)を控えているウイングアローを取上げてまいります。

 私は先日のフェブラリーSでこの馬を本命に押さなかった、その理由はまず休養明けの1戦がG1レースという事がかなりのハンデになると考えたからである。そして本当の目標が国際G1のドバイワールドカップにあると見ていたからである。

だが本番は逃げるトゥザビクトリーを勝ち馬ノボトゥルーが余裕をもってかわし、そのまま決まるかと思ったがウイングアローはとても届くと思えない位置から末脚を伸ばし遂にはトゥザビクトリーを頭差だけかわして2着に入った。私は改めてこの馬の底力を思い知らされたと同時にG1・2勝馬を甘く見てはいけないと再認識させられた。それでは同馬が3歳(旧4歳)だった頃を思い出してみよう。

 この世代にはスペシャルウイーク、セイウンスカイ、キングヘイローそしてマル外にはグラスワンダー、エルコンドルパワーがいる。そしてダート界には彼が1強として君臨していた。彼が本格化をしたのは、同世代のエリート達がダービーを走っていた頃である。彼も例に漏れずサラブレッドの頂点を目指す為、1走だけ芝レースに臨んだ経歴をもっている、ダービートライアルのプリシパルSである。

結果はまったく振るわずの13着、だが彼の快進撃はそこから始まった。その後ダート路線に戻りオープンの菖蒲S、地方の交流重賞を2連勝、そして3歳ダート3冠レースの第1戦目中山のユニコーンS(G3)を2着のロバノパンヤに2馬身半の差をつけて圧勝、ちなみに最強マイラーのタイキシャトルが前年に勝ったレースである。

続く大井のスーパーダートダービー(G2)もナナヨーウォリアーに2馬身半差、さらに5馬身遅れて3着にロバノパンヤが入った。そして3冠レース第3戦目は水沢の統一G1ダービーグランプリを残すのみとなった。だが最後の1冠は本格化してから5連勝するまで完璧な騎乗を見せていた主戦騎手の南井ジョッキーが調教師試験に向けて大事を取る為に騎乗を控える事になり、天才ジョッキー武豊が手綱をとることになった。

だが私を含めた競馬ファンの目にはなんの不安も写らなかった。天才騎手に乗り変わりであれば、むしろプラス材料という意見があってもおかしくないぐらいだ。そしてレースを圧倒的な1番人気で迎える事になった。地方交流戦が本格的になってわずか3年目にしてダート3冠馬の誕生が見れると私は期待に胸を膨らませていた。

だが結果は別路線で前走は名古屋の古馬混合戦の東海菊花賞(G2)2着からのローテーションで来ていたナリタホマレに3/4馬身屈し2着に敗れた、「天才騎手と言えども、やはり初騎乗が多少影響したのだろうか、勝ち馬が強かったのだろうか」その時このように私は敗因を推測した。だがどうもこの推測は間違えている可能性が高いと後に気付く事になった。

ウイングアローは中央競馬の馬場の様に軽い馬場では非常に高い能力を発揮するが、地方の馬場の様に深いダートでは能力が100%発揮出来ないというのが正確な敗因であったのだろう。過去に地方遠征での勝利はこの馬と他の馬に能力の差があり過ぎて勝っていたもので、決して重い馬場は得意ではないというのが私の見解である。


 その後、4歳になり圧倒的な強さは影を潜めたように思われたが、去年のフェブラリーSでおよそ1年4ヶ月ぶりの勝利を挙げ完全復活を果した。今はまさに彼にとって一番充実している時期だろう。そしてこの充実期に彼は世界のダート界の頂点を目指しドバイワールドカップに挑戦する。去年のこのレースの勝ち馬ドバイミレニアムの勝ちタイムは1分59秒5という速いタイム。

前述の通り時計のかかるような馬場よりも、JCダートで記録したように速い時計には対応できるので輸
送など精神面さえクリアすれば好勝負可能であるだろう。

 この遠征は我々競馬ファンにとって大変楽しみなのは言うまでもないが、日本のダート競馬の今後の発展を占う意味でも大きな1戦になるのは間違いない。

 以前、ダートの最強馬ホクトベガ以来の大物の兆戦だけに世界NO.1の座を是非勝ちとって帰国して欲しい。もう日本の競馬は世界レベルにあるという事をウイングアローなら証明できる器だと私は信じている。


(成績と主な勝ち鞍)
15戦5勝2着3回(2000.2.18現在)
フェブラリーS(G1)、同レース2着、JCダート(G1)、ユニコーンS(G3)スーパーダートダービー(G2)、ブリーダーズゴールドカップ(G2)



(血統についてワンポイント)

アサティス
Assatis
1985鹿
Topsider
1974鹿
Northern Dancer
1961鹿
Nearctic
Natalma
Drumtop
1966鹿
Round Table
Zonah
Secret Asset
1977鹿
Graustark
1963栗
Ribot
Flower Bowl
Numbered Account
1969鹿
Buckpasser
Intriguing
サンヨウアロー
1988鹿
ミスターシービー
Mr. C.B.
1980黒鹿
トウショウボーイ
1973鹿
テスコボーイ
ソシアルバターフライ
シービークイン
1973黒鹿
トピオ
メイドウ
タニイチパワー

ネヴァービート
1960栃栗
Never Say Die
Bride Elect
ロングパワー
1967鹿
ヒンドスタン
マーシュメドウ

 父アサティスはノーザンダンサー系種牡馬。アサティスのイメージはダート得意の産駒を出すというイメージがあるが、以前はメイショウテゾロ(シンザン記念、マイルCS2着)を出している。本質はもちろんスタミナ優先。

 母サンヨウアローは芝の長距離戦で実績を残しているユーセイトップラン(ダイアモンドS2勝)の異父姉弟。母父はミスターシービー。

 同馬は父にスタミナタイプ、母にスピードタイプの配合で狙い通りか否か分からないが、見事にウイングアローは1600Mから2300Mの重賞を制覇し距離の融通性を見せている。エルコンドルパサーやグラスワンダーもこのような配合で距離の融通性を見せたタイプ。


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